レポート REPORT

『没後50年藤田嗣治展』へ行ってきました!2/2

こんにちは、アートスクール通信講座事務局による展覧会レポートの時間です!

さて、前回から引き続き、『没後50年藤田嗣治展』ですね。

『アッツ島玉砕』。
第二次大戦の一場面。

描かれている場面の、歴史的な詳細は省きましょう。
日本史の教科書に載っていた記憶があります。が、やはり実物からは凄まじい迫力が感じられます。
ただ、これが絶賛された経緯、文脈、それを無視しては語れない絵でもあります。

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第二次大戦中、画家たちは「戦意高揚のための絵を描くのであれば絵の具が配給される」という状況に身を置いていました。
それに従う者もいれば、逆らう者もいました。
そして、率先して戦意画を描いた画家の一人が、藤田嗣治でした。
彼は多くの戦争画を描き、称賛され、そして、戦後は逆に非難されることになります。

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「絵描きは絵だけを描いてください。仲間喧嘩はしないでください。日本の画壇は早く世界水準になってください」
ただ絵を描いていただけなのに、なぜ非難されるのか。彼が日本を立つときに言った言葉には、そうした思いが込められていたように思います。
彼は日本から去り、フランス国籍を取得して、二度と日本に戻ることはありませんでした。
絵がどれだけ素晴らしいとされても、その後の歴史によって、その評価が変わってしまう。

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絵画は、そのものの出来もそうですが、歴史・美術史・宗教・道具などの発明などの文脈からも、評価されます。
宗教というフィルターを通してでないと裸婦画が成立しなかった時代もありました。
キュビズム(ピカソやブラックの絵ですね)はカメラの登場とともに揺らいだ絵画そのものの価値を見直すきっかけとなったがゆえに、評価されています。
死後に人気になり、その作品の価値が見直された画家もたくさんいます。

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だからこそ『美術館は敷居が高い』と感じる人も多いのかもしれません。
その背景に潜むものを知れば知るほど、絵画は奥深くなっていきます。

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しかし、絵を見るだけでも、美術館は楽しいところです。
同じコンセプトや作家の作品を集めた企画展。そのテーマを、実際に絵を見て味わえる。
あまり深く考えず、肩の力を抜いて、ふらっと行ってみてください。
勉強してから行くという真面目なことをする必要はありません。
でも、展覧会のキャプションや、作家の年表を見ると、なにか発見があるかもしれません。
そして「へえ~」と思えば、それだけで面白いところです。

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ただ、このレポート筆者は絵の背景を味わいたいタイプですけどね!!!
展覧会のキャプションみたいに「へえ~」と思っていただければ満足です。

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