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油絵初心者におすすめの油絵具と油絵の描き方を詳しく解説

これから油絵を始めようと思っている方へ。 いざ油絵を描き始めようと思っても何から始めたらいいのか、道具はどんなものを揃えたらいいのか迷ってしまいますよね。
油絵具は歴史の古い絵具です。ネーデルランド地方(現在のオランダ・ベルギー地域)の画家、ファン・エイク兄弟によって15世紀に確立したとされています。
以後数世紀に渡り多くの画家が研究を重ね、現代に至ります。
支持体もキャンバスとは限りません。また、時代によっても様式が変わり、それぞれかなり印象が異なります。
まずご自身がどんな油絵をイメージしているのかを明確にすることが油絵を始める第一歩かもしれません。
それでは油絵具について説明します。

 


1.油絵具(絵の具)とは

油絵具とは、顔料と乾性油を練り合わせて作られた絵具のことを言います。 乾性油の代表的なものとして、リンシードオイルやポピーオイルがあります。これらの乾性油が酸化、重合し絵の具が固まります。
特徴として筆やペインティングナイフでタッチを活かした厚塗りや画溶液で溶いた薄塗りが可能です。


2.支持体(描くもの)について

一般的に使われる支持体はキャンバスです。キャンバスの布地として、亜麻・麻、綿、ナイロンがあります。また売られているキャンバスには水性キャンバス、アクリルキャンバス、油性キャンバス、油彩・アクリル兼用もあり、油彩では油性地か油性・アクリル兼用を使用します。
またキャンバスの織り目によって極粗目、粗目、中目、細目、極細目と段階が設けられていて描写の好みによって選択していくようにします。目が細かいほど細密描写に適しています。


3.キャンバスについて

キャンバスには規格サイズがあり縦と横の比率が違います。
F、P、M、S、S.M
があります。

  • ● F(Figure=人物) 人物を描くために向いています。
  • ● P(Paysage=風景) 風景を描くのに向いています。
  • ● M(Marine=海) 海景を描くのに向いていて、一番横長の比率になります。
  • ● S(Square=正方形) 正方形を意味します。
  • ● S.M(サムホール) 日本特有の小サイズです。

大きさは号数で変わり、小さいものでは0号~大きいものでは500号程度まであり数字が大きくなるほどサイズが大きくなります。
F0号、P0号、M0号、S0号といった感じに展開されています。
S.M(サムホール)は、1号と2号の間の大きさに入ります。このサイズはよくコンクール等で指定されていたりと活躍の場が多いので小さいサイズで何か出品してみたいというかたにおすすめの大きさになります。
これらのように、まずは描きたいものを決めてからキャンバスを選ぶようにすれば、イメージに近づけやすくなります。
初心者の方は中目のF8~F10くらいのものを用意するとよいでしょう。
キャンバス地がすでに張ってある張りキャンバスは購入後すぐ描き始めることが可能です。慣れてくると、木枠とキャンバス地を別々に買い、自分でキャンバス地を張れば、好みの硬さに調整することができます。

 キャンバスのサイズ表
号数
Fサイズ
(Figure)
人物型
Pサイズ
(Paysage)
風景型
Mサイズ
(Marine)
海景型
Sサイズ
(Square)
正方形
0号
180x140
180x120 180x100 180x180
1号
220x160
220x140
220x120
220x220
SM
227x158
           
2号
240x190
240x160
240x140
240x240
3号
273x220
273x190
273x160
273x273
4号
333x242
333x220
333x190
333x333
6号
410x318
410x273
410x242
410x410
8号
455x380
455x333
455x273
455x455
10号
530x455
530x410
530x333
530x530
12号
606x500
606x455
606x410
606x606
15号
652x530
652x500
652x455
652x652
20号
727x606
727x530
727x500
727x727
25号
803x652
803x606
803x530
803x803
30号
910x727
910x652
910x606
910x910
40号
1000x803
1000x727
1000x652
1000x1000
50号
1167x910
1167x803
1167x727
1167x1167
60号
1303x970
1303x894
1303x803
1303x1303
80号
1455x1120
1455x970
1455x894
1455x1455
100号
1620x1300
1620x1120
1620x970
1620x1620
120号
1940x1303
1940x1120
1940x970
1940x1940
150号
2273x1818
2273x1620
2273x1455
2273x2273
200号
2590x1940
2590x1818
2590x1620
2590x2590
300号
2910x2182
2910x1970
2910x1818
2910x2910
500号
3333x2485
3333x2182
3333x1970
3333x3333

 

4.基本色について

赤系、黄系、緑系、青系、茶系、紫色、黒、白の中で必要な色を徐々に増やしていきましょう。
油絵の具は透明色、不透明色、半透明色、半不透明色があり購入するときの目安にするとよいでしょう。
例を挙げると、

  • [赤系]
    クリムソンレーキ、バーミリオン、カドミウムレッド
  • [黄系]
    イエローオーカー、レモンイエロー、カドミウムイエロー
  • [緑系]
    カドミウムグリーム、ビリジャン、テールベルト
  • [青系]
    ウルトラマリン、コバルトブルー、セルリアンブルー
  • [茶系]
    ローシェンナ、バーントシェンナ、バーントアンバー、ローアンバー
  • [紫]
    コバルトバイオレット
  • [黒]
    アイボリーブラック、ピーチブラック
  • [白]
    パーマネントホワイト

が挙げられます。
絵具メーカーは国内外にあり、

  • ● ホルベイン
  • ● クサカベ
  • ● マツダ
  • ● マイメリ(イタリア)
  • ● ウィンザー&ニュートン(イギリス)
  • ● ルフラン(フランス)
  • ● シュミンケ・ムッシーニ(ドイツ)

があります。
メーカーによって特徴があるので、色々試してみて自分に合うものを見つけるとよいでしょう。

5.画溶液・溶き油について

初めに述べましたが、油絵の具は顔料を乾性油で練ることで作られています。
なのでチューブから出した状態で描いても十分に画面に定着させることはできます。
ただし、筆さばきをよくしてスムーズに描き進めたり、何層も薄く透明に塗り重ねたりする際には絵の具を溶き油で薄めます。
画溶液は大きく分けて乾性油、揮発性油があります。乾性油はそれ自身が固まり、描いた状態を鮮やかに保つことができます。揮発性油は文字通り揮発(蒸発)してしまうオイルで、乾燥を早める効果がありますが、固まる力はありません。
この二つを調合して使います。
乾性油で代表的なのはリンシードオイル、ポピーオイル揮発性油で代表的なのはテレピン(ターペンタイン)、ペトロールなどがあり、市販のペインティングオイルはこれらの乾性油、揮発性油、それに樹脂溶液が混ぜ合わされたもので「調合溶き油」と呼びます。
慣れてくれば比率を変えて調合したり、各種メーカーが様々な調合溶き油を販売しているので好みに合うものを選ぶようにしてみましょう。
購入にあたってはペインティングオイル、テレピンの2種類がお勧めです。
描き始めは画面を薄く広く塗る為に、早く乾く揮発性油をよく使います。描き進めるにつれ、乾性油の比率を多くしていくと考えてください。

 

溶き油

 

 

6.筆について

筆の形は丸筆(ラウンド)、フィルバート、平筆(フラット)、その他ファン(扇形筆)があります。
丸筆は穂先の形状に方向性が無く、ストロークの強弱で幅広い表現が可能です。
フィルバートは平筆を使い込んだ形を再現した角を丸めた形。面塗りや描き込みに適しどんな場所でも使用できます。

「平筆」は平面を利用した塗り込み、エッジを利用した線描などに用います。
「扇形筆」は穂先が扇形になっている筆で、筆のタッチを消したりぼかしたりする時に用います。

それぞれ号数の違う細い筆から太い筆があるとさまざまな表現が可能となります。
また筆は毛の種類で随分描き味が変わってきます。
大きく分けて天然毛と合成繊維に分かれ、毛質も硬、軟、中に分けられます。

天然毛は豚、コリンスキー、テン、狸(ラクーン)、マングース、オックス、
合成繊維はリセーブル毛、ナイロン毛
があります。
油彩画用筆で最も一般的なのが豚毛の筆ですが、毛が硬くて太すぎるため、細かな作業には不向きです。
コリンスキーの筆は水の含みが良く、繊細な表現には不可欠ですが高価なものが多いです。
安価なナイロン毛は硬さとしては中くらいで弾力性や絵の具の含み、コシ等やや物足りなさを感じるかもしれないです。
ただ全ての筆に言えることは、筆は消耗品ということです。
丁寧に扱うことと、穂先がばらけてきたら交換のタイミングだと思ってください。

 

溶き油

 

7.その他必要な道具

筆を洗う為のブラシクリーナー、オイルを入れる為の油壺又は皿や小瓶、ウェス、パレット、パレットナイフがあれば完璧です。

最後に

油絵の道具はたくさん売られていて迷ってしまうと思います。 ただ、描きたい画風によって揃える道具も変わってきます。まずは少しずつ試して油絵に慣れてみてから、自分だけのお気に入りの道具を見つけてください。 これから油絵を始めたいと思われている方の参考になれば幸いです。

 

油彩画コース講師 / 藤原舞子

 

 

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